ニコチンと同じ効果で小依存性、新リキッド発明
ニコチンと全く同じ効果があるにもかかわらず、依存性が小さいシチシンという化学物質を使った新しいリキッドが発明されました。
記事
⇨Cytisine, an alternative to Nicotine might be used for e-cigs
特許申請
⇨A LIQUID WITH CYTISINE FOR ELECTRONIC CIGARETTES
要旨
シチシンはすでに錠剤として禁煙用に用いられている化合物である。
2014年に発表された論文によると、シチシンはニコチン代替療法(註:ニコチンガムやパッチなどを用いる治療法)よりも禁煙に効果があるとされる。VAPEのリキッドに用いる場合、通常グリコールを90%、シチシンを10%混ぜたものを用いる。
シチシンはニコチンと同じ脳の受容体に作用することで、ニコチンと同じような効果を有する。
自律神経に作用してアドレナリンの分泌を促し、血管運動神経の中枢を刺激し血圧を上げる。
しかし、依存性はニコチンより小さいのだ。
まとめ
ニコチンは依存性のある物質として有名です。
しかし、ニコチンはある程度の量までは神経を興奮させる作用を持つ一方、血中濃度が高まるにつれ心を落ち着かせ怒りを鎮める鎮静作用が現れるという特徴があり、嗜好品として極めて優れた物質でもあります。
喫煙の経験がある方であれば、シャキッとするためにタバコを一本吸った経験や、嫌なこと・不安なことがあってイライラして仕方がないときに、気持ちを落ち着かせようと何本もタバコを吸ってしまった経験があるのではないでしょうか。
あれはニコチンの作用からすれば合理的な行動であったわけです。
⇨一服してリラックス、怒りを鎮めるタバコの効用が裏付けられる
シチシンは、そのようなニコチンとほぼ同じ作用機序をたどり、同じような効果をもたらしてくれるにもかかわらず、依存性がニコチンのそれと比べてはるかに小さいという物質です。
シチシンもニコチンも大きく分ければ同じアルカロイドです。
ニコチンはナス科の植物に多く含まれていますが、シチシンはマメ科の植物などに多く含まれています。
⇨wikipedia:シチシン
上記記事の中でも触れられていますが、2014年に発表された論文によると、タバコをニコチンパッチなどで代替し徐々にその量を減らしていくニコチン代替療法よりも、シチシンを用いた代替療法の方が禁煙成功率が倍以上高いそうです。
すでに世界中で様々な商品名を付され、有望なニコチン代替品として販売されています。
註:この論文はNEMJの論文で全文英語なのですが、日本語訳された概要が公開されていましたので、ご興味のある方はご覧ください。
⇨禁煙のためのシチシンとニコチンとの比較
このシチシンをVAPEのリキッドに応用した製品が現在特許申請されているようです。
リキッドにシチシンを配合して使用する場合、その濃度を自由に調節できるという利点があり、特許申請もほぼ0%〜ほぼ100%の間までという幅広いシチシン濃度を想定しています。
Google特許検索を参照する限り、まだ出願の段階のようなので、特許登録はされていないようです。
⇨Google特許検索
シチシンをVAPEリキッドに応用するという発想は率直にいって凡庸ではあり、新規性が認められない公算が高いのではないかと思いますが、どうなるでしょうか。
ニコチンを吸った時のシャキッとする感じ、またはホッとする感じというのは他には代え難い魅力がある一方で、依存性によりしばらく吸えないとイライラするという欠点があるのも確か。
いいとこ取りができる製品が可能だとするなら、VAPEの嗜好品としての可能性がまた大きく高まりそうです。